Obsolete Recommendationという話

やや旧聞だが、W3C Process Documentが2017年3月1日付けで更新されている。

World Wide Web Consortium Process Document 1 March 2017
https://www.w3.org/2017/Process-20170301/

前回更新されたのが2015年9月で約1年半ぶりの更新。ポイントについてはW3C Blogの

What’s new in the W3C Process 2017? | W3C Blog
https://www.w3.org/blog/2017/03/whats-new-in-the-w3c-process-2017/

に記載されているとおり、Recommendationとなった文書について改訂するプロセスを簡素化したのと、ブログエントリーのタイトルにもあるObsolete Recommendationというステータスが追加されたというアナウンスがされている。

このステータスがどういうものなのかについては、Obsoleting and Rescinding W3C Specificationsに若干説明されており、1つはもはやベストプラクティスを示さなくなったものが当てはまる、とされている。その意味ではhistoricalに若干近いんだろうか。

このステータスの発行をリクエストできるのは、勧告を作成または維持しているWorking Groupのほかにいろいろとあって、どうやら個人でもWorking Groupにリクエストできるらしいが、いずれにせよなにがしかのRecommendationが実際にObsolete Recommendationになるのを見てみないと何とも言えない、というのはあるのかなと。

WCAG 2.1 FPWDがもうすぐ出そう(提案間にあわない)

いや、高を括ってたというか、まだ出ないだろうと勝手に踏んでいたんですが、議事録ひっくり返したらWG Decision出てたっていうね。

たぶんこれがFPWDのソース。wcag21/index.html at FPWD_review · w3c/wcag21

でまあ、何が個人的に困ってるかというと、Proposalを書きかけてたんだけど、今から書いてももうFPWDに間に合わんだろっていう(別に間に合わせないといけない、って事もないんだけど)

GitHubに用意されたテンプレートにほんのちょっとあわせただけの書きかけの提案をえいやでここにメモ。意図としては、ガイドライン 4.1 互換性: 現在及び将来の、支援技術を含むユーザエージェントとの互換性を最大化すること。に新しいガイドラインを追加することで、具体的には各種spec(HTML5https://www.w3.org/TR/html/obsolete.html を想定)に"must not"と書かれているものは将来のユーザーエージェントとの互換性が担保されるとは限らないだろうから、そういうのは使わないようにしましょう、ってあたりなんだけど、この下書き段階ではかなり盛っている。もっとスマートに書いた方がいいんだろうけどいかんせん時間がない、というか寝かせておいたらCRまでに間に合わないだろうからとりあえず晒してみる。なんかコメントをもらえれば幸い、というか誰か代わりに書いて欲しい気もしなくもない。



SC Shortname

Harmonization of other specification(他の仕様との調和)

SC Text

On a web page which depends a technical specification, the web page is created in a manner satisfying the instructions according to regulations of the latest stable specification.

ウェブページの依存する技術仕様において、その最新の安定した仕様の規定による指示を満たす方法でウェブページを作成する。


Suggestion for Priority Level (A/AA/AAA)
Level A

Related Glossary additions or changes
N/A

特になし(しいて言うなら、最新の安定した仕様とは何なのか、WCAG 2.1で規定してしまってもよい気はする。)

What Principle and Guideline the SC falls within.

A simple answer, such as "Principle 4, Guideline 4.1".
If proposing a new Guideline, indicate the Principle.


Description

技術の進歩およびウェブコミュニティーの知見の蓄積とともに、日々ウェブ技術仕様も進歩している。ウェブ技術仕様は、W3C仕様においてはRFC 2119、ISO規格においてはISO/IEC Directives Part 2に記述されたキーワードに従って、仕様における規定がなされる。ウェブ制作者は、それら仕様に出現するキーワードによる規定を尊重してウェブページを作成する必要がある。具体的には、RFC 2119キーワードによって要求されている(キーワード"must"に相当)または禁止されている("must not"に相当)事項を満たす方法でウェブページを作成する必要がある。加えて、仕様で規定される推奨事項("should"および"should not"に相当)に関して、ウェブ制作者はこれらを考慮することが望ましい。

ときには、ウェブ仕様間で矛盾が生じることがある。しかし、少なくともW3C仕様においては、「この文書が、他の文書によって置き換えられている場合もある。」ため、数字以外が同じ名称の仕様(たとえば、HTML 4.01とHTML5)の場合は、より大きい数字の新しい仕様が古い仕様に取って代わると解釈することができる。そのため、より新しい仕様の規定を採用することが堅牢性の観点から理にかなっている。

注:個別のウェブ技術仕様に関して、各実装方法の技術ノートにおいて、ウェブ制作者がどの技術仕様を参照すべきかを明示することが期待される。

注:失敗例を除く個別の実装方法の中には、このガイドラインと矛盾する実装方法が現在および将来において発生しうる。ワーキンググループが最新のウェブ仕様の指示と矛盾するような実装方法を掲げている場合は、ウェブ仕様の規定と矛盾しない実装方法を示すことが期待される。

Benefits

Clear information about how the proposal will benefit users, along with justification and evidence of the benefits (this may be a link to a different resource).

より新しい仕様に従うことで、特に廃止された技術を回避することができる(ex. https://www.w3.org/TR/html/obsolete.html#obsolete)。これにより、ユーザーは堅牢性を享受することができる。

Testability

Description of how this SC can be tested. This may include manual, automated, or semi-automated mechanisms.

HTMLおよびARIAの場合、HTMLチェッカーでテストすることができる。
CSSの場合、CSS Validatorでチェックすることができる。

Techniques

G134: Validating Web pages
https://www.w3.org/TR/WCAG20-TECHS/G134

H88: Using HTML according to spec
https://www.w3.org/TR/WCAG20-TECHS/H88