アクセシブルな規格を眺めてみよう、っていうお手軽な話。

このエントリーは、Webじゃないアクセシビリティ Advent Calendar 2018 - Adventar 8日目です。

最初のタイトル案は「JISハンドブック38 高齢者・障害者等 アクセシブルデザインを眺めてみる」とかいうやや堅苦しいタイトルで、ウェブなアクセシビリティでおなじみのJIS X 8341-3もここに収められているので注目したわけですが、これだと読者にキャッチーになれないですし、まーた大上段から…となりかねないので、もっと気軽な感じにしてみました。
で、このJISハンドブックをつらつらと眺めてて、これだったら敷居が低いんじゃないかな、というので目に留まったのが、ハンドブックに収録されている「包装・容器」だったというお話です。
その中に、JIS S 0021 包装−アクセシブルデザイン−一般要求事項という規格がありまして、シャンプー容器の側面だったり上部だったりの“あのギザギザ”が図として載ってるんですね(写真はちょっと見ずらいですが)。

この規格には、牛乳パックのくぼみなんかも図に記載されていて、あーなるほどなぁ…って感じになります。なりませんか?


ちなみに国際対応規格であるISO 11156 *1にそのものが載ってたりします。infomativeな附属書なので、全世界で強制されるというわけではありませんが、ユニバーサルデザインとパッケージ | パッケージデザイン【情報の森】| JPDAなんかによると、花王が1991年に導入したのが最初で、業界に提唱、JIS化を経て、おそらくISOにも収録されるようになったみたいです。筆者ははじめて知ったのですが、ちょっとしたトリビアですね。

とまあ、ごく簡単に規格を眺めてみるということをしてみました。ちなみにこのJISハンドブックは2018年度版でお値段14,300円(税別)、公称2452ページという鈍器にもなりそうな代物で、個人で所有するにはちょっと…という感じですが、私の知る限りでは中核市の図書館だったり、大学図書館だったりであればJISハンドブックをシリーズで閲覧可能だったりします。収録規格数は110にものぼるので、これ以外にも興味深いものがありそうです。
もちろんJISCのJIS検索で規格票自体は閲覧可能だったりしますが、あてもなく目を通すというのはやはり紙の書籍に軍配が上がるかなと。

これを読んだ読者の方で、もし興味が湧いてきたという人がいれば、お近くの大きな図書館でハンドブックを眺めてみてはいかがでしょうか。

*1:ISOの規格票をサクッと閲覧できるのが国会図書館・関西館の素晴らしいところだったりします

Microsoftが独自エンジンとしてのEdgeを断念してしまった日の記録

Microsoft Edgeブラウザ、独自エンジンを捨て「Chromium」ベースに - PC Watch
Microsoft Edge: Making the web better through more open source collaboration - Windows Experience BlogWindows Experience Blog

かつてのOpera Software ASAが今は亡きPresto Operaについて独自エンジンを維持することを諦めてしまったのが2013年2月*1のことでしたが、5年を経たのちに今度はIT業界の巨人Microsoftが独自エンジンを維持することを諦めてしまいました。決して慈善事業でウェブブラウザーを開発しているわけではないのですから、致し方ない面があるのは否めないでしょう。それでも、ウェブの将来に暗い影が忍び寄るのではなかろうか、という懸念を抱かずにはいられません。

多くの人がいろんな反応を示しています。私のようにネガティブにこのニュースを受け取る人もいれば、そうではなく逆にポジティブに受け取る人もいます。そのこと自体についてあれこれ言うつもりはない――もっとも、ちょっと残念なツイートも中にはありましたが――のですが、ともかく、嘆いていても仕方ありません。淘汰されてしまうのもまた自然の摂理です。ウェブブラウザーの多様性がというお題目をいくら唱えていても、それだけで何かが解決するわけではないのです。諸行無常であります。

とにもかくにも、ChromiumベースでEdgeを開発していくことを決めたMicrosoft Edgeチームを見守っていくことぐらいしか筆者にできることはありません。ということで、彼らの決起文たるMicrosoft Edge and Chromium Open Source: Our Intentという文書をやっつけで翻訳してみました。Microsoft EdgeとChromiumオープンソース:私たちの意向をどうぞ。