デジタル庁関連法案審議つまみ食い(4、5月の参議院内閣委員会より)

第204回国会 参議院 内閣委員会 第13号 令和3年4月20日

石川博崇君 公明党石川博崇でございます。

(中略)

まず、最初に平井大臣にお伺いしたいのは、デジタル社会、デジタル社会、今日のこれまでの質疑でもあったわけでございますけれども、デジタル社会の理念とは一体どういうものなのか。デジタル社会とは一体どういう社会を築いていかなければならないのか。

これまで政府で進めてまいりました、例えばe―Govや電子申請、それは、電子申請できる方はしてください、あるいはホームページで御覧いただける方は御覧くださいといったようなものでございましたけれども、これからのデジタル社会というのは、社会全体のインフラでなければならないというふうに思います。つまり、全ての国民が享受できる、そういうデジタル社会でなければならないというふうに思います。享受できる人だけが利便性を感じ、また支援を受けられる、そういったデジタル社会ではあってはならない。

   〔委員長退席、理事徳茂雅之君着席〕

私ども公明党としては、一貫して誰一人取り残さないデジタル社会を実現するということを訴えてきたところでございます。この関連法案の法案提出に先立ちまして、党内でも有識者の方々あるいは様々な関係業界の方々からヒアリングと議論を重ねてまいりました。その上で、昨年の十一月十三日に党として、菅内閣総理大臣、そして平井デジタル担当大臣にも党のデジタル庁設置に向けた提言をお持ちをさせていただいたところでございます。

それを受けて、昨年の年末、十二月二十五日に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針には、私どもの提言を受けていただいて、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会ということを目指していくということ、それから、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を進めていくということ、これを明記をしていただいたところでございます。

この基本方針に沿いまして今回のデジタル改革関連法案ができ上がったわけでございますけれども、法案説明の折には、平井大臣自ら私ども党の会合にお足を運んでいただきまして、この法案の中には公明党の提言の内容を全て入れたつもりだというふうにもおっしゃっていただきました。心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

このように、今回の関連法案の中には、誰一人取り残さない社会の実現というものの理念がしっかりと打ち立てられているというふうに考えておりますけれども、改めてこの場で平井大臣の方から御所見をいただきたいというふうに思います。

国務大臣平井卓也君) ありがとうございます。

本当に御党の皆さんとは長く一緒に、特に高木先生とはもう十年以上この問題について一緒にやらせていただいて、超党派の議連で今までいろんな法案も審議をさせていて、議員立法にも取り組まさせていただいたような経緯があります。

そういう中で、デジタル改革関連法案が描く社会像は、デジタルの活用によって一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会であり、そうした社会の形成に当たって、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を目指しております。

これは、公明党さんのあの提言にある、豊かな国民生活と誰一人取り残さない社会の実現、全く一致するものでございまして、政府としては、こうしたデジタル社会の形成に関する司令塔としてデジタル庁を設置すること、マイナンバーを利用した国民の利便性向上を図ること、そしてアクセシビリティーの確保を図ること等の措置を盛り込んだその関連法案の成立に今全力を尽くしておるところでございますし、御党の赤羽大臣と一緒になって、障害者手帳スマートフォンのミライロというアプリの中に取り込んで、全JRの割引、高速道路の割引等々に使えるというようなサービスをマイナポータルとの連携でやっているというようなことは、もうまさに我々の理念に沿ったものの具体化だというふうに考えております。

そういう意味で、このアクセシビリティーのところは、もう徹底的にここもこだわっていきたいというところでございます。

石川博崇君 ありがとうございます。

今大臣もおっしゃっていただきましたけれども、これからが、このデジタル社会の中でアクセシビリティーをどのように構築していくのか、具体的な現場で様々な声も、また御要望も御意見も国民の中から出てこようかと思います。きめ細やかに、私どもも汗をかいてそういった声を拾い集めて、そのデジタル社会の更なる進化というものを目指していきたいというふうに思っております。

それでは、今回の法案の中で今大臣が御指摘をいただきました点がどのように反映されたのかを確認をさせていただきたいと思います。

デジタル社会形成基本法案の第三条で、全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現ということが規定されておりまして、現行のIT基本法の三条に加えて、以下の文が付け加わっております。それは、情報通信技術を用いた情報の活用を行うことにより、デジタル社会におけるあらゆる活動に参画という文言も加わっているところでございます。

デジタル改革基本方針では、誰一人取り残さないデジタル社会の実現と題しまして、人の多様性に尊厳を持つ社会を形成するため、誰一人取り残さないデジタル化を進めることとする、すなわち、誰もが参加でき、個々の能力を創造的、最大的に発揮できる、包摂性、多様性あるデジタル社会の形成を図るとも記載をしていただいているところでございます。

今申し上げたこの基本法案の第三条の規定、これこそがデジタル改革基本方針の誰一人取り残さないデジタル社会の実現の部分を具体化した条文ではないかと考えておりますけれども、この点、平井大臣にお伺いをしたいと思います。

また、あわせて、この条文には全ての国民というふうになっておりますが、我が国には生活や滞在している外国人の方々もいらっしゃいます。こうした方々も当然含まれるというふうに思いますが、確認をさせていただきたいと思います。

国務大臣平井卓也君) デジタル社会形成基本法案第三条は、御指摘のように、昨年末に閣議決定したデジタル改革の基本方針における誰一人取り残さないデジタル社会の実現の部分を受けたものであります。

本法案は、我が国が目指すべき社会の姿やそれを達成するための国としての取組の基本的な枠組みを規定するものであり、基本理念や基本方針では他の基本法と同様、その対象を国民と規定しています。このため、主として日本国内に住む国民を対象として施策を実施することが想定されていますが、情報通信技術の進展や社会のグローバル化の進展に伴い、デジタル社会の形成に向けた措置として、在留外国人や短期滞在の外国人も含めデジタル社会の恩恵が受けられるよう、デジタル庁が中心となって各種施策を推進することが重要であるというふうに考えております。

例えば、現在、在留カードマイナンバーカードの一体化について関係省庁で検討を進めているところであり、このような取組はデジタル社会の形成に資するものであると考えております。

石川博崇君 続きまして、最初の質問で大臣がおっしゃっていただいたアクセシビリティーがどのような条文の中で具体化されているのかについて確認をさせていただきたいというふうに思います。

高齢者の方々、障害をお持ちの方々、また生活困窮者など、一般的にいわゆる情報弱者になりやすい方々へのサポート体制をしっかりと整備していくこと、また、デジタルデバイド、これを解消する取組を精力的に進めていただくこと、これがデジタル社会においては不可欠でございます。

基本方針におきましても、先ほど言及した項目におきまして、アクセシビリティーの確保、年齢、地理的条件や経済的状況に基づく格差の是正等によって、全ての国民が公平、安心、有用な情報にアクセスする環境の構築を図ると記載をしていただいているところでございます。全ての人に優しいユニバーサルデザイン、これを前提にした社会を構築していく必要がありますし、ここからこぼれ落ちそうな、情報格差に遭いそうな方々を置き去りにしてはならないという意味がこの基本方針に込められたと考えております。

今回のデジタル社会形成整備法案の中には、マイナンバーカードのスマホへの搭載も規定されているところでございますし、また、今後、健康保険証や運転免許証といった生活に密着をした様々なサービスをマイナンバーカードと結び付けていく、このことも推進がなされていくところでございます。

そうしますと、例えばマイナンバーカードやスマホを持たない高齢者の方あるいは障害をお持ちの方、こうした方々がアクセスできないような、そういったサービスが広がって、生まれていってはならない、また、情報通信技術を活用できる人、できない人の格差を広げることにつながってはならない、こういったことを避けていかなければならないというふうに思います。

政府において、このような高齢者の方々、障害者の方々への配慮をこのデジタル社会の構築の中でどのように目配りをしていくのか、具体的な方策を伺いたいと思います。

○政府参考人(時澤忠君) お答えいたします。 ※引用者注:内閣官房内閣審議官

デジタル社会形成基本法案が目指すデジタル社会では、全ての国民が情報通信ネットワークの利用や自由かつ安全な情報の活用を通じまして、デジタル社会の様々な活動に積極的に参加し、能力を最大限に発揮することができることが重要だと考えております。

このため、デジタル社会形成基本法案におきましては、誰一人取り残さないデジタル社会の形成に関しまして、地理的な制約、年齢、障害の有無等の心身の状態、経済的な状況その他による情報の活用等の機会の格差の是正が必要とされまして、また情報の活用等の機会の格差が生じないよう必要な措置が講じられるべき旨を定めております。

アクセシビリティーの確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えておりまして、具体的には、UI、UXの改善によりまして、高齢者や障害のある方、デジタルに苦手意識のある方にとりましても使い勝手が良い行政サービスへ刷新すること、ユニバーサルデザインを考慮した設計による機器の開発によりましてインターフェースを分かりやすくすること、高齢者や障害がある方に寄り添った機器やサービスの利用の機会を拡大すること、こういったことによりまして誰一人取り残さないデジタル社会の実現に向けた対応をきめ細かく行ってまいりたいと考えております。

石川博崇君 今おっしゃっていただいた、高齢者の方々あるいは障害者の方々、こういった情報弱者と言われる方々を巻き込んでいくといいますか、全て、誰一人取り残さない社会にしていくための具体策として期待されるのが総務省の推進していただいておりますデジタル活用支援員の事業でございます。

現在、新型コロナ感染症によってオンラインサービスの利用拡大が進む一方で、高齢者の中には、デジタル機器あるいはオンラインサービスの利用に不安を覚える方も大変多くいらっしゃいます。そもそもオンラインで様々手続ができること自体を知らないと、そんなやり方があるのかという方も多いわけでございます。そこで、こうした高齢者の方々あるいは障害者の方々の身近に、オンラインでのサービスについて具体的なアドバイスあるいは相談対応、これを実施を充実させていくことが重要でございます。

総務省が行っていただいておりますこうした情報通信技術の利用をサポートしていくデジタル活用支援員の制度普及に向けては、昨年度、令和二年度では全国十一か所で実証実験が行われ、今年度は全国千か所程度で講座の開催などが予定されているというふうに伺っております。

我が党といたしましても、冒頭申し上げました昨年の菅総理平井大臣への提言におきましてこの支援員の普及というものを訴えてきたところでございまして、このデジタル活用支援員の全国展開、これを是非進めていく必要があると考えております。

今年度は全国千か所程度ということが今のところ予定されておりますけれども、全国自治体千七百あることを考えれば、全国千か所程度というのはまだまだ不十分であるというふうに思っております。これを是非とも、全国でそのデジタル活用支援員の事業を享受できる、その取組を力強く進めていく必要があると考えますけれども、総務省の御所見をいただきたいと思います。

○政府参考人(辺見聡君) お答え申し上げます。 ※引用者注:総務省大臣官房審議官

昨年十二月に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針におきましては、今後のデジタル改革が目指すビジョンとして、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を掲げているところでございます。

他方で、内閣府が行いました世論調査によりますと、七十歳以上の高齢者の約六割がスマートフォンなどの情報通信機器を利用していないと回答しております。社会のデジタル化が急速に進む中で、各地域の実情を踏まえつつ、助けを必要とする方々に十分な支援が行き渡るようにすることが必要と認識しているところでございます。

このため、総務省におきましては、昨年度、全国十一か所におきまして基本的枠組みの構築に向けました実証事業を行ったところであり、この成果を踏まえまして、今年度からは主に高齢者のデジタル活用を支援する講習会の開催をまずは全国千か所程度で行うということを検討しているところでございます。これらの取組に際しましては、民間事業者が実施するスマホ教室の講師など、既に能力を有している人材を活用するとともに、新たに研修などを行うことにより教える人材を育成をするということを想定をしております。

総務省としては、誰一人取り残さないとの基本方針の下、各地域の実情やニーズを丁寧に把握しつつ、助けを必要とする方々に適切に支援が行き渡るよう、今後とも支援体制の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。

第204回国会 参議院 内閣委員会 第14号 令和3年4月22日

○塩村あやか君 ※引用者注:立憲民主党所属 (中略)

次の質問なんですが、関連をちょっとします。誰一人取り残さないという部分なんですね。

今のお話だと、やはり皆さんインターネットを持っている、ネットの環境にあるということが恐らく前提になってくるんだろうなというふうに思います。ただ一方で、ネットの環境がなくて、こうしたお届けする情報が届かない人もいるかもしれませんし、登録することがなかなか難しい人もいるかもしれません。特にWiFi環境がないとかというと相当難しいんじゃないかなというふうにも思ったりもしています。

こうした方々に対してどのように政府は支援をしていくのか、特にWiFi環境の面で御答弁をいただけたらなというふうに思っております。

国務大臣平井卓也君) デジタル改革には誰一人取り残さないという視点が不可欠であり、今回、我々は、デジタル社会形成基本法において、経済的な状況に起因するものを含めてアクセシビリティーを保障しようと、情報の活用の機会等の格差是正が着実に図られなければならない旨を規定しています。これは、この法律が目指すデジタル社会においては、機器やネットワーク環境が機会の確保の前提となる場合も当然想定されるので、経済的な状況でその機会が制限されることがないよう配慮する観点から、本法案において是正すべき格差の要因としてそこを明示させていただきました。

政府としては、これまでも具体的な施策として、例えばWiFi環境が整っていない家庭の児童生徒に対する貸与等を目的として自治体が行うモバイルルーターの整備の支援を講じているほか、低所得世帯で障害のある子供のオンライン学習の通信費の支援、本法案を契機にして必要な施策を引き続き実施していきたいというふうに考えています。

仮にこの法案が成立すれば、ニーズを踏まえた新規施策の充実を図っていくことが重要でありまして、各省庁と連携して、細やかにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

○塩村あやか君 ありがとうございます。

この部分はもう本当に是非しっかりとやっていただきたいと思っています。アクセスできないとかそういったことになれば支援以前の話になってまいりますので、ここだけはもう本当に、コロナ禍を経てもう本当に困窮支援をしている人、私も含めてなんですが、本当に無力を感じたんですね。なので、ここ是非ずっとやっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。


○高木かおり君 ※引用者注:日本維新の会所属

(中略)

やはりこれ、情報格差という問題、これ、本日も議論に出ておりましたけれども、今年一月に内閣府広報室が公表したデジタルデバイドの現状というのを私も見てみたんですが、十八歳から二十九歳はスマホとかこういったSNSなんかを九六・九%がよく使うと回答しているんですよね。今度逆に、七十歳以上、利用全然していないという方が四九・八%、ほとんど利用していないという方が八%で、合計五七・八%。これだけの格差があるんだなというふうに改めて思ったんですけれども、若い世代の方々はおおむねこういったSNSを使うことができる。一方で、中高年から高齢者の方々の中には、誰かに相談したくてもなかなかできない環境であったり、そもそもそういうふうに人に聞くのが恥であるというふうに、心情的な部分で聞けないという方々、SNSなどで発信すらできない深刻な環境下にある高齢者の方々も多いというふうに感じております。

このデジタルデバイドを回避するために、今、政府の方では、デジタル活用支援員、こういった配置のことも考えていただいていて、支援のためにいろいろと政策を考えていただいているんですが、一方で、デジタル化してもデジタルを避けたい方々というのも一定、まあ少数かもしれませんが、一定いるかと思います。また、今言ったようなデジタル活用できない一定の人たち、どのようにして政府としてこのデジタル社会を浸透させていくのか、この点についてちょっと御答弁いただけますか。

○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。※引用者注:内閣官房内閣審議官

デジタル社会の形成は、デジタルの活用により一人一人のニーズに合ったサービスの選択を可能とすることで多様な幸せを実現するために行うものでございます。御指摘のようなデジタル機器を利用しないような生活様式、選択も、これ当然に尊重されるものだというふうに考えてございます。

他方、デジタル社会形成基本法案におきましては、政府はデジタル社会の形成に関する国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるものとされていることを踏まえまして、政府といたしましては、デジタルのメリット等について国民に分かりやすく説明するとともに、デジタル化による利便性の向上を実感していただけるよう施策の推進を図ってまいりたいと考えてございます。

具体的に申し上げますと、国民が行政機関との間で情報の入手や申請する際のUI、UXの改善によりまして、デジタルに苦手意識がある方にとっても使い勝手が良い行政サービスへ刷新するなどのアクセシビリティーの確保を行うとともに、デジタル機器を十分に使いこなすことができない方々につきましては、先生御指摘のデジタル活用支援員ですね、身近な場所でデジタル機器やサービスの利用方法等に関する助言や相談を行う、そういった仕組みによりましてリテラシー向上に関する取組を充実をしてまいりたい。そのことによりまして、誰一人取り残さないデジタル社会の実現に向けた対応をきめ細かく行ってまいりたいと考えてございます。

第204回国会 参議院 内閣委員会 第15号 令和3年4月27日

特記事項なし

第204回国会 参議院 内閣委員会 第16号 令和3年5月6日

特記事項なし

第204回国会 参議院 内閣委員会 第17号 令和3年5月11日

石川博崇君 公明党石川博崇でございます。

本日は、最後の質疑に総理にお越しをいただきました。大変にありがとうございます。

そこで、改めてになりますけれども、基本的な点を幾つか確認をさせていただきたいと思います。

総理のリーダーシップによって急速に進められておりますこのデジタル改革につきまして、デジタル社会の理念、そしてビジョンについてでございます。

公明党は、一貫いたしまして、豊かな国民生活と誰一人取り残さない社会を実現させるということを訴えてまいりました。昨年の十一月にも、菅総理、そして平井大臣にも私どものそうした思いを込めた提言を申し入れさせていただいたところでございます。

今回のデジタル改革関連法案は、また、そして今後築かれていくデジタル社会というのはこうした我が党の訴えも十分に踏まえていただいたものと認識をしておりますけれども、これら法案の意義について改めて菅内閣から御所見を、そしてデジタル社会の理念、そして総理のビジョンをお伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

内閣総理大臣菅義偉君) 私としては、役所に行かなくともあらゆる手続ができる、地方にいても都会と同じような仕事や生活ができる、こうした社会を目指して、誰もがデジタル化の恩恵を最大限受けることができる、そして世界に遜色のないデジタル社会を実現したいと思っています。

今回の法案は、委員から御指摘をいただきました、御党の御提言にある司令塔としてのデジタル庁の設置、マイナンバーを利用した国民の利便性向上、アクセシビリティーの確保、こうしたことを盛り込んだものであり、今回の法案を成立させることで、デジタル社会の実現、全力で取り組んでいきたい、このように思います。

総理も答弁でアクセシビリティって言っているぞ。

○杉尾秀哉君 午前中に引き続いて質問させていただきます。 ※立憲民主・社民所属

新型コロナウイルス拡大に伴う経済危機というのは甚大でございまして、コロナ禍においては所得が低い人ほど大きな打撃を受け所得格差が拡大しているというのは、これは周知の事実でございます。先ほどの質問にもありましたけれども、テレワーク、それからデジタル化の推進では、環境が整った大企業とそうでない中小企業、また正規雇用者と非正規雇用者など、格差の拡大も指摘されております。

そうした中で、政府が進めようとしているデジタル改革も同じことだというふうに思っておりまして、その意味では誰一人取り残さないデジタル社会の実現というのは単なるお題目になりかねないということなんですが、そこで平井大臣に伺いますけれども、デジタル改革がもたらす格差拡大のおそれ、これについての大臣の認識をお伺いします。

国務大臣平井卓也君) この格差の拡大というのを容認してしまいますと、恐らく中国のような状況になってしまうんだろうと思います。アメリカもやっぱり、デジタル化はやっぱり格差を生むということはいろいろな所得の階層を見ていても私も感じています。日本ではそういうことが起きないようにするために、したいという思いがこの誰一人取り残されないというところに来ているわけでございます。   〔委員長退席、理事酒井庸行君着席〕 その意味で、格差が広がらないようにアクセシビリティーをちゃんと確保しながら、そしてまた、あらゆる人にいろいろなチャンスが与えられるようなデジタル化を進めてまいりたいと考えております。

○杉尾秀哉君 問題意識は同じです。

そこで、今回の一連のデジタル改革が、その配慮は、デジタルデバイドに対してですね、本当に十分なのかということなんです。これについての大臣の見解はどうでしょうか。

国務大臣平井卓也君) 基本法案では、誰一人取り残さないデジタル社会の形成に関して、様々な要因による情報の活用等の機会又は必要な能力の格差是正が必要とされ、こうした情報の活用の機会等の格差が生じないよう必要な措置が講じられるべく旨を定めており、デジタルデバイドの対策にしっかり取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っています。そのために、高齢者とか障害者とか、住んでいる場所であるとか所得であるとか、いろんなことがその要因になり得るので、そういうことに細やかに対応していきたいというふうに思っております。

そして、デジタルはあくまでも手段であって、目的はやっぱり国民のより良い生活ということを考えますと、このデジタル技術が社会の裏で動くことによって多くの皆さんにそのメリットがある、恩恵が届けられるというふうに思います。私は、究極的に目指しているのはデジタルを意識しない便利で安全な社会というふうに思います。

デジタル社会形成基本法案:参議院

5月12日賛成多数にて可決、5月19日公布。

インターネット版官報 令和3年5月19日(号外 第109号)

関連するかもしれない公党のリリース

デジタル化で生活豊かに | ニュース | 公明党(2020年11月14日)

情報アクセシビリティー(利用しやすさ)の確保に向けては、専門部署の設置や全ての人に快適なユニバーサルデザインを原則とした政府調達、高齢者や障がい者の機器利用をサポートする「デジタル活用支援員」の制度化・普及などを要望。デジタル庁が持つ権限では、関係閣僚に対する勧告権限や、自治体の業務システム標準化を求めた。

なんかユーザビリティに引っ張られている気がしなくもない。

デジタル・ニッポン・アンリミテッド2021 | 政策 | ニュース | 自由民主党(2021年5月14日)

本年の「デジタル・ニッポン2021」は、昨年策定した「デジタル・ニッポン2020」を土台とし、デジタル庁設置を念頭に置いたデジタル本部第一次提言、デジタル庁設置後の具体的イメージの提案を図った第二次提言の内容も包含しながら、デジタル時代おいて解決すべき課題を整理しつつ、分野別のデジタル施策や制度改革の具体的な提案を行うことを目指している。

3-4 防災分野 <インターフェイス> 2. 障がい者や困難を持つ人に過不足なく伝わるよう災害情報が発信できる体制を整備すること

いかにもアクセシビリティっぽいですが、インターフェイスというくくりが若干不安ですね…。

4-2 デジタルデバイド対策(誰一人取り残されない)

デジタルデバイドへの対応>

  1. デジタル活用支援策として総務省が進める携帯ショップを中心とした主に高齢者を対象とした講習会では(以下略)

  2. デジタル活用においては、高齢者等が詐欺等の被害や危険な目にあわあないよう(以下略)

  3. デジタル活用における架空メールやなりすましECサイト被害等の(以下略)

  4. 高齢者にはデジタル活用の体験型プログラムが好評であることから(以下略)

  5. デジタル活用は一度の講習会では十分に体得できないこともあるため(以下略)

  6. 生徒が家庭でもインターネットに接続できる(以下略)

アクセシビリティどこ言ってもうたんや…。

所感

自民党からこれと言った質疑が目に付かなかったのがダメ。

Web24というトークイベントでウェブアクセシビリティのセッションに出ます #web24_a11y

昨日もツイートしたのですけども、5月7日(ツイートでは誤って5月6日と書いていた)の90分間(18:30~20:00)Web24 - connpassというトークイベントでウェブアクセシビリティをテーマにしたセッションに出ます。

セッションのメンバーは@masuP9@emim@KatsutoshiTsujiと筆者の4人になります。建前として、「登壇者の発言は個人のものであり所属する組織とは関係なし」ということになっているので、セッションのメンバーについてはTwitterなりの過去ログを当たってください…というか筆者が何者かについても陽に書いているわけではないのでだいたいそういうノリです(いいのか悪いのかは別にして)。

ちなみにイベント名に24とあるように、24時間ぶっ通しでやるものでもあり、他にもセッションがあるわけですが、詳細については上記connpassを当たってください。

このイベントとしては「資料、画面共有、打ち合わせ、台本なし」と言うことなので、何がどう転ぶのかは筆者にもわかりません。話してみたいことはありますが、成り行きでということですね。ちなみにconnpassにはアーカイブされないことが記載されていますので臨場感をお楽しみいただければと。

なお、このアクセシビリティのセッションのみ、情報保障というかUDトークでもライブキャプションを提供する予定です。UDトークでお手伝いしてくれる人を募集してるという話ですので、詳しくはmasuP9のBlogエントリーを参照ください。

ということで、緊急事態宣言の対象地域で時間を持て余している、ウェブアクセシビリティに明るい4人のメンバーのトークが気になる、純粋に4人のメンバーのトークが気になる、他のセッションのついでに聞いてやろう、というような人は、トークセッションに付き合ってもらえると筆者が喜びます。