『デザイニングWebアクセシビリティ』流し読みの感想

デザイニング Web アクセシビリティ — Website Usability Info
http://website-usability.info/2015/07/entry_150728.html
ウェブサイトの本質を設計する ~「デザイニングWebアクセシビリティ」書評:WebClip - ウェブ制作、UXD/IA、アクセシビリティ - CNET Japan
http://japan.cnet.com/blog/webclip/2015/07/27/entry_30022764/
デザイニングWebアクセシビリティ | 覚え書き | @kazuhito
http://kidachi.kazuhi.to/blog/archives/038692.html
『デザイニングWebアクセシビリティ』のレビューを担当しました - 徳丸浩のtumblr
http://tumblr.tokumaru.org/post/125086092470/デザイニングwebアクセシビリティのレビューを担当しました


査読協力者の方々の言及をはじめ、先に書評を挙げている方々がいるのでもう私の方で書くこともなさそうなのですが、今日Amazonさんから届いたので軽く流し読みしたところ、図らずとも次の誤りを見つけてしまいました……。

ただし、

という具合に、ばけらさんに補足されたのでそのうち公式なアナウンスがあると思います……。単に「dl要素は」に訂正されました*1上記の周辺ツイートに興味のある方は、dl要素大喜利的な何か。 - Togetterまとめもどうぞ。


まあ、そんな枝葉末節なことはさておいて(ならなぜ冒頭に置いた感はありますが)、どのようにしてサイトの設計段階でアクセシビリティを織り込んでいけばよいのかということが平易な日本語と図で基本的なところを不足なく一貫して書かれているというのが第一印象でした。何かと堅苦しさが付きまとうアクセシビリティーという単語に対して、風穴を開ける大きな一手と言っても過言ではないでしょう。とかく「べからず集」になってしまいがちなアクセシビリティーを考える上での悪手を、「これはダメだ」と過度に否定することなく、「こういう状況があったら困るよね?」というタッチで描かれているのが印象的でもあります。その意味で、よく練られた書籍であるように感じました。


また、この手のウェブないしプログラミング関連書籍では珍しく(と言えるほど私もその本をたくさん読んでいるわけではないのですが)、本文中にボールドやマーカーの類いが一切出現していません(私が目を通した限りでは)。webではよく見かけるhogeふげというような装飾がない地の文が、日本語を集中して読ませるのに一役買っているのかもしれません。言葉を変えるなら、実際にHTML/CSS/JavaScriptを書く人だけではなく、コードを直接書かないけれどもサイト作成に携わる人でも読み進めるのに抵抗ないよう配慮がなされている、と受け取ることもできそうです。


何かと技術の流れが速いウェブ界隈にあって、アクセシビリティー関連技術や仕様もいろいろと加速しつつありますが、WCAG 2.0に取って代わるアクセシビリティー指針が出てこない限り、本書の内容も色褪せることがないように感じます。まだ見ぬ未知の技術革新が近い将来あったとしても、土台の揺らぐことのないウェブサイトを構築するチャートとして本書が役立つのではないでしょうか。


アクセシビリティーに興味があるけど近づく機会を得られなかった、WCAG 2.0やJIS X 8341-3:2010という単語は見たことがあるけど内容までは知らない、という今までサイト制作に多少なりとも携わっているけれどもアクセシビリティーとはなんぞやという人はもちろん、これからサイト制作の世界に関わっていくつもりだけれども何かよい本はないかという人や、「良いサイト」とは何なのかといった思索をする人(?)にもお勧めできそうです。気になった方は手に取ってみてはいかがでしょうか。


デザイニングWebアクセシビリティ - アクセシブルな設計やコンテンツ制作のアプローチ

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