いろいろあったらしい*1ものの、無事に公示されました。中の人たちはお疲れ様です。
今回改正されたJIS X 8341-3:2016は、ISO/IEC 40500:2012 (IDT)です。これは規格票の最初にも記述されているように、国際規格(ISO/IEC 40500、以下単にISO)と一致している規格です。また、ISOは、W3C WCAG 2.0を「そのまま」使用している規格でもあります。すなわち、技術的に
WCAG 2.0≡ISO/IEC 40500:2012=JIS X 8341-3:2016
ということが言えます。これで枕を高くしてJISを参照できるのではないかと。
ちなみに、国際規格と完全に一致しないJIS規格というのも当然存在して、例えば日付と時刻を表すISO/IEC 8601:2000という規格があって、これと対応するJIS規格はJIS X 0301:2002 (MOD)です。JIS X 0301は、日本固有の和暦を規格として取り込んでいるために、国際規格から技術的内容に変更が入っています。変更のある記述は、規格票の中で破線のアンダーラインで示されており、この部分を除けば国際規格と一致します。
ほとんど蛇足ですが、JISが国際規格(ISO/IEC/ITU)と整合をとらなければならないのは、WTO/TBT協定によるものです。簡単に言ってしまえば、ISOと整合性のないJISは貿易の妨げになるからそういう国家規格は作らないようにね、ということです。詳しくは、日本工業標準調査会:国際協議・協力(WTO/TBT他)-TBT協定についてあたりが参考になるでしょう。また、IDTやらMODやらの詳細については、やや古いですがJISCのJIS(日本工業規格)と国際規格との整合の手引き(改訂版)(PDF)が参考になると思われます。
ところで、Techniques for WCAG 2.0 W3C Working Group Note 17 March 2016も公開されたんですが、頭抱えるしかないですね……(内容的な意味で)。
*1:通常、JISは5年ごとに改正されますが、本規格は6年になったあたりからの推測。