W3C Alternative and Augmented Communication (AAC) Symbol Registry - W3C Draft Registry 13 December 2022
https://www.w3.org/TR/2022/DRY-aac-registry-20221213/
W3C Registry Trackの文書を初めて見たけども、なるほどこういうことか。
Alternative and Augmented Communication (AAC)は、拡大・代替コミュニケーション1などと訳されるもので、DINFの用語解説では以下のように紹介されている。
コミュニケーション能力に障害がある人が,本人の能力(音声,表情,サイン,身振りなど),ローテク(文字盤,絵カード,シンボル,写真など),ハイテク(電子機器など)その他,様々な手段の活用によって,自分の意思を相手に伝えることを支援する臨床活動の領域ことである。言語障害,知的障害,視覚障害,聴覚障害,発達障害,身体運動機能障害その他,コミュニケーション障害を伴う広範な障害が対象となる。
AACについて簡単に検索したところ、日本語の書籍としては、言語聴覚士のためのAAC入門が見つかった。立ち読みできる範囲でも、AACが何なのか、なんとなくのイメージが膨らむ。
で、AAC Symbol Registryなのだけども、これはAbstractにもあるように、Blissymbolics Communication International(BCI)と共同で発行されたものとある。現に、BCIのSymbol filesで入手できるシンボルのIDは、そのままAAC Symbol RegistryのIDになっている。(Blissymbols;ブリスシンボルについては、Wikipediaも参照)。
では、このAAC Symbol Registryをどうやってウェブページで利用するのか?WAI-Adapt: Symbols Module仕様の4.1.2 Examplesでは、HTMLでの用法が挙げられている。2つ例を引っ張っておく。
例1:個別の単語にシンボルIDを当てるもの
<span adapt-symbol="13621">Cup</span> of <span adapt-symbol="17511">Tea</span>
例2:画像にシンボルIDを当てるもの
<img src="cup.png" adapt-symbol="13621" alt="Cup">
実際にどのように動作するのかについては、WAI-Adapt Explainerの1.2.4.1 Proof of Concept: Symbol Exampleがわかりやすい。ようは、ユーザー設定により自分の好みにあったシンボルを選択できるようにすることが狙いということになる。
と、ここまで書いて気づいたんだけど、パーソナライゼーション・セマンティクスとシンボルによるコミュニケーションで取り上げていることと大差なかった。WAI-Adapt Explainerの発行履歴を見ると、以前はPersonalization Semantics 1.0と謳っていたものがWAI-Adaptと名前を変えており、そのために気づかなかったわけか…。
WAI-Adaptは、WAI-ARIAのaria-*
ようなadapt-*
属性を導入しようという意図が透けて見える2けれども、少なくともシンボルでそのようなマークアップが容易にできるのかのハードルがありそう。<ruby>
を個別に打ち込んでいくようなもの…と捉えるとかなり手間がかかることが想像できる。
さまざまな困難が伴うだろうけれども、Coga TFを通して明らかになっている課題を前に進めようという姿勢は賞賛に値する。
- 「補助代替コミュニケーション」が当てられることもある↩
- 実際、WAI-Adapt ExplainerのModulesからたどれるモジュールを見ていくとそう捉えることができる↩