Microsoftが独自エンジンとしてのEdgeを断念してしまった日の記録

Microsoft Edgeブラウザ、独自エンジンを捨て「Chromium」ベースに - PC Watch
Microsoft Edge: Making the web better through more open source collaboration - Windows Experience BlogWindows Experience Blog

かつてのOpera Software ASAが今は亡きPresto Operaについて独自エンジンを維持することを諦めてしまったのが2013年2月*1のことでしたが、5年を経たのちに今度はIT業界の巨人Microsoftが独自エンジンを維持することを諦めてしまいました。決して慈善事業でウェブブラウザーを開発しているわけではないのですから、致し方ない面があるのは否めないでしょう。それでも、ウェブの将来に暗い影が忍び寄るのではなかろうか、という懸念を抱かずにはいられません。

多くの人がいろんな反応を示しています。私のようにネガティブにこのニュースを受け取る人もいれば、そうではなく逆にポジティブに受け取る人もいます。そのこと自体についてあれこれ言うつもりはない――もっとも、ちょっと残念なツイートも中にはありましたが――のですが、ともかく、嘆いていても仕方ありません。淘汰されてしまうのもまた自然の摂理です。ウェブブラウザーの多様性がというお題目をいくら唱えていても、それだけで何かが解決するわけではないのです。諸行無常であります。

とにもかくにも、ChromiumベースでEdgeを開発していくことを決めたMicrosoft Edgeチームを見守っていくことぐらいしか筆者にできることはありません。ということで、彼らの決起文たるMicrosoft Edge and Chromium Open Source: Our Intentという文書をやっつけで翻訳してみました。Microsoft EdgeとChromiumオープンソース:私たちの意向をどうぞ。

ここ最近のMathMLについてのメモ

10月や11月のネタもあってやや旧聞ですが、にわかにMathMLの盛り上がりを感じたのでメモ。

筆者の中でのことの発端は、

Review MathML
https://github.com/w3ctag/design-reviews/issues/313

というissueがW3C TAG reviewに上がってきたことによります。

ここからたどっていくと、MathMLに関してはIgaliaがものすごい頑張っていて、どうやらNISO *1 から資金援助を得て、ChromiumへのMathMLの実装を試みる模様*2。なおIgaliaはFirefoxWebKitにMathMLを実装した経験がある(MathML in Chromium談。てっきりWebKitだけかと思ってたら、Geckoにも絡んでたらしい)。

で、残るEdgeはMicrosoft Edge web platform features status and roadmap - Microsoft Edge Developmentによれば、相変わらずNOT CURRENTLY PLANNEDのステータスのままですが、

any Edge-WebKit differences are bugs that we’re interested in fixing.

https://blogs.windows.com/msedgedev/2015/06/17/building-a-more-interoperable-web-with-microsoft-edge/

とか言ってたのは嘘だったんですかね。まあ、Chromeに再実装となるといよいよ尻に火が付く感じになってくるのかもしれませんが。

実装面はこんな感じですが、仕様面ではやはりMathMLは結構「てきとう」なところがあるみたいで、Frédéric WangというこれまたIgaliaのエンジニアの人がMathML in HTML5 - Implementation Noteという、ブラウザーの実装に必要な、仕様に不足しているものを補う技術文書を書いていたりして、これを取り込むような形でMathMLがリファクタリングされる…のかもしれません。

いずれにせよ、来年以降にガラッとMathMLを取り巻く環境に変化がそれなりの確率で訪れそうです。