WCAG 2.0解説書の更新版と、How to meet WCAG 2.0の日本語訳が公開されました

2016年版のWCAG 2.0達成方法集がWAICサイトで公開されましたの続き。

まずは解説書から。



このエントリーの執筆時点で最新となるWCAG 2.0 解説書の更新が公開されました。WAIC WG4の初会合が去年の6月のことでしたから、1年と4ヵ月ほどで、WG4の当初の目標である、WCAG 2.0の解説書と達成方法集を最新のものに更新するという目標をついに成し遂げることができました。関係者のみなさま、お疲れ様でした。

今回の解説書の更新では、上述のブログエントリーでも言及したような、翻訳の品質向上が試みられています。例えば、「ガイドライン 1.1 を理解する」の新旧訳を見比べてもらうとよく分かるのかなと思います(原文の日付は更新されていますが、原文の内容は全くの同一です。)

最新版(執筆時点で2016年10月7日付け)の「ガイドライン 1.1 を理解する」
http://waic.jp/docs/UNDERSTANDING-WCAG20/text-equiv.html
2016年3月17日付けの「ガイドライン 1.1 を理解する」
http://waic.jp/docs/NOTE-UNDERSTANDING-WCAG20-20160317/text-equiv.html

最初に目に付くのは訳註が追加されている点でしょうか。訳出にも手が加えられている様子も見て取れると思います。このような訳の見直しもあわせて行われているのが今回の更新の特長です(もちろん、最新版にあわせたことが一番の目玉なのですが)。

解説書については、当面は主にCA11yなどのイベントによるフィードバックにより、適宜見直しがされていくものと思われます。もちろん、そういったイベントに関係なくお気づきの点がありましたら、WAICのお問い合わせの要領に従ってコメントを頂ければ幸いです。メールをするのが面倒だという人は、GitHub waic/wcag20にissueやpull requestをすると言う方法もあります。GitHubは敷居が高いという人は、@momdo_にメンションを飛ばしてもらっても構いません。みなさまからのコメントを歓迎します。




そして、How to meet WCAG 2.0について。



内容を一言でいうならクイックリファレンスと言ったところです(まあURLにもそうありますしね)。

解説書と打って変わってタイトルが英語のままだったり、中身についても一部英語が残ったままだったりしますが、細かいところは目を瞑ってラフなものでとにかく一度公開してみよう、という方針で公開する運びとなりました。英語を日本語にする残りのタスクについては、おいおい作業が行われると思われます*1。これについては(まだ何もドキュメントが整備されてませんが)GitHub waic/wai-wcag-quickrefであれやこれやの作業が行われるみたいです。issueはそのうち立てます、たぶん。




おまけで今後のWG4の活動方針について。

もちろん既存文書のメンテナンスは継続的に行われていく予定ですが、それとは別にATAG 2.0の日本語訳(fukumotoy/atag20-ja)についてWG4のもとで翻訳作業を行う流れにあります。これは、オーサリングツールのためのアクセシビリティガイドラインであり、CMSやブログも視野に入れているガイドラインでもあります。

この他にもいろいろと動きがあるみたいですが、それはまた別の機会にブログに記していきたいと思います。

*1:WAIC内部のレビューでも、もうちょっと日本語にした方がいいのではという指摘があり、それを振り切っての公開だったりするので、問題の認識はされています。