ここ最近のMathMLについてのメモ

10月や11月のネタもあってやや旧聞ですが、にわかにMathMLの盛り上がりを感じたのでメモ。

筆者の中でのことの発端は、

Review MathML
https://github.com/w3ctag/design-reviews/issues/313

というissueがW3C TAG reviewに上がってきたことによります。

ここからたどっていくと、MathMLに関してはIgaliaがものすごい頑張っていて、どうやらNISO *1 から資金援助を得て、ChromiumへのMathMLの実装を試みる模様*2。なおIgaliaはFirefoxWebKitにMathMLを実装した経験がある(MathML in Chromium談。てっきりWebKitだけかと思ってたら、Geckoにも絡んでたらしい)。

で、残るEdgeはMicrosoft Edge web platform features status and roadmap - Microsoft Edge Developmentによれば、相変わらずNOT CURRENTLY PLANNEDのステータスのままですが、

any Edge-WebKit differences are bugs that we’re interested in fixing.

https://blogs.windows.com/msedgedev/2015/06/17/building-a-more-interoperable-web-with-microsoft-edge/

とか言ってたのは嘘だったんですかね。まあ、Chromeに再実装となるといよいよ尻に火が付く感じになってくるのかもしれませんが。

実装面はこんな感じですが、仕様面ではやはりMathMLは結構「てきとう」なところがあるみたいで、Frédéric WangというこれまたIgaliaのエンジニアの人がMathML in HTML5 - Implementation Noteという、ブラウザーの実装に必要な、仕様に不足しているものを補う技術文書を書いていたりして、これを取り込むような形でMathMLがリファクタリングされる…のかもしれません。

いずれにせよ、来年以降にガラッとMathMLを取り巻く環境に変化がそれなりの確率で訪れそうです。

(メモ)W3C、HTMLとDOM仕様の並立状態が有害であることを認めていた

TwitterのタイムラインにW3C Strategic Highlights - October 2018へのリンクが流れてきて知ったのですが、このW3CのレポートのIntroductionに(strong要素で)、

we believe that having two distinct HTML and DOM specs claiming to be normative is generally harmful for the community.

とあって、(周知のとおり)HTMLとDOMの仕様書がWHATWGW3Cという2つの団体から別々に発行されているという状態は、有害であるW3Cが明言するに至ったと。ここまで長かったですね…(ざっくり見た感じでは、May 2018バージョンのレポートでは、この文言は見当たらない)。

これに関連して、上記のW3Cレポートからリンクされている、Léonie Watsonからのpublic-webapps@w3.orgへの今年9月へのメールによれば、HTML 5.3(+その周辺仕様)およびDOM 4.1のW3C勧告への作業を中断するようです。確かW3C HTMLは1年ごとに発行していくみたいなことをどこかで見た記憶がありますが、結局HTML 5.1→5.2のみという結果になりそうであり。

どのようにしてWHATWGW3CのHTMLとDOM仕様の並立状態が解決されるのかはわかりませんが、両者の話し合いにより、合意形成がなされる日を待つことにしましょう。