2016年の振り返りなぞしてみる

技術エントリーでも翻訳エントリーないけれども、このブログに関連してたりしなかったりする事象について1年を振り返っても怒られまい。まあ、2016年のウェブ活動方針とかとの対になるエントリーということにでもしておこう、かなと。

翻訳という観点では、HTML Living Standard訳に手を付けたはいいけれども、予想通り進捗が芳しくないわけで、そこはまあUpstreamのWeb Developer Editionが動いてないのが全部悪い、ということにしておこう。

前々回のエントリーITS 2.0の日本語訳を公開したで書いたように、Internationalization Tag Set (ITS) Version 2.0 日本語訳を訳出した。これは先行訳がまったくない、一から訳出をしたものなのだけれども、途中で息切れしてしまったので、あまりクオリティーは高くない。それでも、未訳箇所のない代物なので、一応完訳はできてるはず。

で、個人的な翻訳活動とは別に、4月からはWAIC WG4のオブザーバーとして、WCAG 2.0の補助文書(W3Cノート)の翻訳に携わったりもしだした。折しも昨日のエントリーのとおりで、成果物をギリギリ年内に公表できたのは本当によかった。
こう、ウェブアクセシビリティーの文脈でブログであれやこれや書かれるときに(まあアドベントカレンダーなんだけど)、W3C技術文書にもかかわらず高確率でリンクを張られるので、潜在的な需要というのは結構あるんだなと(だからこそ活動する意義があるわけだけども)。


別の観点から振り返えると、インターネットヒキコモリだった、(自称)電子の妖精、あるいは実は複数人いるのではとも言われていたらしい筆者が、表に出てきてあることないこと活動したという、自分史の中では転換点となるような1年だったなあと。それについてはすべてを事細かにこのブログに書いてないけれども、たとえばHTML5カンファレンス2016で登壇してきたのは一番大きなハコで喋ったなあ、とか。人に会ったイベントを勝手に振り返ると、人前で喋ったのがHTML5カンファレンスを含めて4回、D2Dの飲み会だけ顔を出したのと、AccTalk関西に顔を出したり、あと誤って突発で平日に名古屋に足を運んだり、CSSシークレットの発売記念イベントにたまたま機会を得て上京できたので顔を出したり、「アクセシビリティおじさん」他アクセシビリティのえらい人たちに囲まれたり、Vivaldiのプレスリリースにお邪魔したり、まどマギイベントに合わせて関西に来た人とオフで会ったり、彩華ラーメンでオフやったり…こう振り返ってみると結構いろんな人に会いましたね…。

あとはまあ、電子書籍版デザイニングWebアクセシビリティの献本をいただいたりしたのは年の瀬にあっと驚く出来事でしたね。

来年はどんな年になるのでしょうか。みなさま、よいお年を。

新しいWCAG 2.0解説書がWAICサイトで公開されました

筆者がオブザーバーとして参加しているWAIC WG4の初成果物として、2016年3月17日付けでW3Cノートとして発行されたUnderstanding WCAG 2.0の翻訳がWCAG 2.0解説書として公開されました。

これまで公開されていた解説書は2010年3月27日付けのエディターズドラフトと相当日付が古いものであったため、まずはWAIC WG4が招集された今年4月時点で最新のW3Cノートに追い付こう、という意図のもとでWG4のメンバーで作業を行ってきました。

そのため、このブログエントリー時点で最新のW3Cノートである2016年10月7日付けよりも、1世代古いノートになっています。ただし、原文における3月付けのノートと10月付けのノートで大きな変更点はないと筆者は認識しています。その点ではほぼ最新のノートと遜色のないものです。
なお、3月付けのノートに追い付くことを最優先したため、WCAG 2.0訳との整合性が必ずしも取れていなかったり、表記の揺れがあったりと、訳文そのものの見直しは必ずしも十分ではないのですが、そのことについてWG4では認識がなされています。訳文の精度を上げる作業については、引き続きWG4内で議論される見込みです。


目下のWG4の作業状況としては、WCAG 2.0解説書の更新よりもむしろ、Techniques for WCAG 2.0(WCAG 2.0達成方法集改め、実装方法集)の更新をすべく動いているところです。WAICで公開している実装方法集は2012年1月3日付けで年が明ければ5年前の文書と相当古いものであるため、解説書と同様まずは最新のW3Cノートに追い付く必要があろうという方針です。この作業の副次効果として、解説書からリンクされているにもかかわらず、対応する達成方法の訳がWAICサーバー上に存在しない、という現象を解決することにもなります。

新しいWCAG 2.0実装方法集がWAICでいつ公開できるのかについては現時点で明言できませんが、個人的な予想としては、来年春までには公開できるだろうと踏んでいます、たぶん。


なお、WG4の主査である太田さん曰く、

とのことですので、WAICのお問い合わせの方法で連絡していただけると助かります。