アクセシビリティの祭典 2018 感想戦のようなもの

当日の様子はFRESH!に記録されています。スポンサー様々ですね→ https://freshlive.tv/tech-conference/210688

思っていた以上に濃密な時間でした。
当日の私がどんな様子だったかは、リンクは張りませんけどどこぞのTwitterのログを辿ってもらえば分かりますでしょうし、ハッシュでつぶやきまくったのでそのうち誰かまとめるんじゃないかと思うんですが(?)、まあだいたいそういう感じです(謎)。

個人的には仕様書の相手ばかりしていて、障害者の方々に接する機会が皆無といっていい状況ですから、実際に障害をもつ方に前で喋ってもらえるということ自体が新鮮だったなと。それも多様な障害を持つ方にお願いをして実際に講演頂いたわけですから…こういう機会はそうそうないのではなかろうかと。昨年も参加させてもらいましたが、昨年とは前で話をしてもらう面々がかなり趣が変わった感じで、振り返ってみると今年は今年で印象に残ったなあと。

いやこう、UDトーク(リアルタイムでのスクリーンへの文字起こし)とか手話完備とかという時点で情報保障の手厚さを見せつけられる訳ですが、障害当事者による手話や視線移動の講演とか、こう強力な殴り棒で殴られるような衝撃が個人的にはあって、その意味で印象に残るイベントでありました。

あとはまあ、WCAG 2.1のISO化への展望ですね。植木さんの講演の中でははっきりとは語っておられませんでしたが(JIS化に関して大きなクエスチョンとはいっておられたと記憶)、私のツイートに対してリプライをこういう感じで植木さんから頂いて、


要するに、6月以降にWCAG 2.1がW3C勧告になった後に、W3CがISOに対してどういう行動に出るのか…にかかっていると。勧告までの流れとしては、W3C TAGがWCAG 2.1に対してどういうコメントをする(した)のかというのはたぶん表に出てこないでしょうが、仮にコメント対応に手間取るのであれば最速6月から後ろにずれ込むのは予想されうる事態ではあり。何事もなかったかのように予定通り勧告に持ち込む…というのはちょっと都合がよすぎる気がしますし、個人的にはスケジュールありきの進行で本当によかったのかどうか奥歯にものが詰まったような感覚もあるので、一息入れてもよいのではという勝手な思いもあり。

勧告後は…W3C内のどのセクションがイニシアチブを取っていくのか、私はよく分かってないので、どこを見ていけばいいのか分からないのが一番のネックでしょうか。そもそもWAIをあまり観察していないのが本当のところなのですけれども。

あとは、本当にISOでWCAG 2.1をIS(international standard、国際規格)にしなければならないのかという必然性ですかね。WCAG 2.2が控えているなら、一旦TS(Technical Specification、技術仕様書)という形にしてしまい、WCAG 2.2が出たら改めてこれをISにしてしまう、という手もあるのではなかろうか…まあ完全に個人の妄想なんですけれども、WCAG 2.1の欧州の後押しだけでなく、中国も押しているというのは興味深かったですし、日本と北米はこれにのっかっていくのかどうか。

ええと…WCAG 2.1のWAICでの翻訳の進捗ですか、まあ気長にお待ちください…。

しかしまあなんでしょうか、濃厚なのはよいのですが、時間が足りない感じがですね。とくにLTという5分という制約に慣れておられない方も散見され、主催はLT講演者とちゃんと打ち合わせできていたのか…という疑念があったりなかったり。あと主催への注文としては、食べるところが少ないよみたいな告知が不十分だったのではなかろうかと(まあ、自分は幸いなことにサイボウズの小林さんにご飯を売って頂いたので、事なきを得ましたが…)。他にも、アンケートや質問を書く時間がなく、オフィシャルな方法でフィードバックせずブログに書くのが間違いなのではという話もあるんですが…というか、なぜネットではなく紙なのかという疑問もありますけれども。

そういう細かい運営への注文はあるのですが、多いに刺激を受けた一日でありました。アクセシビリティの祭典の運営に携わった方々、講演してくださった皆さま、当日私と直接話してくださった皆さまにこの場を借りてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。

おまけ:
私以外の感想とか、スライドとかその他諸々は:アクセシビリティの祭典 2018のまとめ | 覚え書き | @kazuhitoがとてもよくまとまっていますので、あわせてどうぞ。