(メモ)「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」は自身がアクセシビリティ規格を満たしているわけではない

デジタル庁が提供しているウェブアクセシビリティ導入ガイドブックは、ウェブアクセシビリティの理解の一歩として有用な資料ですが、このガイドブック自身は残念ながらPDFのアクセシビリティ規格であるISO 14289-1 (PDF/UA-1)を満たしているわけではない…という話。

どうやってチェックしたかですが、veraPDFというツールでチェックを行いました。チェック対象ファイルは2024年3月29日発行のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックです。

チェックに使用するveraPDFのバージョンですが、veraPDF/veraPDF-libraryのReleasesを見る限り、Developmentバージョン(v1.26.0 RC)でもいろいろPDF-UA/1周りの修正が入っているようですので、今回はv1.26系列を使ってみることにします。ビルド済みのjarファイル(インストーラー)はhttps://software.verapdf.org/dev/から入手可能です。まあ、これを書いている時点ではGitHubにはない1.26.0-RC3というバージョンがなぜか見えるわけですが、ここではverapdf-greenfield-1.26.0-RC3-installer.zipをダウンロードすることにします。

ダウンロードしたzipを解凍して、Windowsであれば同梱のvera-install.batを実行すればインストールが始まります。インストールの詳しいことは公式のInstalling veraPDFを参照ということで。

veraPDFを起動して、PDFを読み込ませると下記画像のような感じになります。いろいろと設定を触れるようですが、詳しいことは把握してません(公式のDesktop GUI Quick Start Guideに説明が書いてあります)。とりあえずReport typeはValidation、PDF flavourはPDF/UA-1(PDF 1.7なので)にセットしておきます。その状態でExecuteを押せばチェックが実行されます。

varePDFのスクリーンショット

すると、PDF file is not compliant with Validation Profile requirementsと表示されます。

PDF file is not compliant with Validation Profile requirementsと表示されているvarePDFのスクリーンショット

何がどうダメなのかはReportとして出力できます。XMLで眺めて嬉しいことはないと思いますが、View HTMLを押してHTMLで見ると下記画像のような感じになります。

varePDFのチェック結果のHTMLをブラウザーで表示させたスクリーンショット

Failed Checks:1374ということなので、1000を越える箇所をAcrobatなりでプチプチ直していく必要があると。つらさしか見えないですが…。

何がどう引っかかってるのかは、HTMLのValidation informationにそれぞれ記載されています。このHTML内のリンク先は、veraPDF/veraPDF-validation-profilesのWikiPDFUA Part 1 rulesとなっており、そこでほんのちょっぴり詳しい説明が記載されています。関連資料として、PDF Associationが発行しているTagged PDF Best Practice Guide: Syntaxなんかも役に立つかもしれません。

ということでデジタル庁におかれましては、PDF/UA規格への適合も取り組んでいただけるとよいのかなと思います。